こんにちは、中小企業診断士の三田元気です。
今日は、本日6/21発売の『ふぞろいな合格答案:エピソード14』を使って、2次試験再現答案の採点をしてみました。
Amazonはやはりすごいですね~、翌日発売予定の本が手元にあり発売日当日にはブログへのアップができてしまいます。(ほとんど予約をしないのですが、普段から予約する人から見たら当たり前のスピード感なのか!?)
受験生時代は『ふぞろい』をある意味バイブルとして活用していたのですが、採点のガイドとしてどれほどアテにできるのか、興味のあるところです。
それではさっそく行ってみましょう!
(注釈1:ふぞメンの方々、執筆お疲れ様です! 出版、おめでとうございます! 診断士としての初仕事の方も大勢いらっしゃると思います! 素晴らしい第一歩尊敬します。)
(注釈2:『ふぞろい』はキーワードに一喜一憂するための参考書ではありません。合格者の作ったロジックを学ぶ、重要なキーワードを入れる、合格者・不合格者の答案を分析する、など多面的に『ふぞろい』は活用しましょう!)
以下をお読みになって気になった方はぜひ品切れになる前に、店頭・ネット等でお早めにお買い求めください!!
事例Ⅰ得点開示 65点 → ふぞろい流採点結果 75点
第1問設問1 再現答案
経営ビジョンは、A社長に後継者としての経験をつませつつ、優秀な人材を活用し、日本の文化・伝統に憧れて訪れる観光客に対し老舗ブランドを訴求し集客、酒造業の再建と新規事業で地元経済の活性化を目指すこと。
第1問設問1 ふぞろい流採点 9点/20点
ふぞろい流では、「経営ビジョン」「達成のための経営資源や機会」といった切り分けでした。
「描いていた経営ビジョン」では、『地元経済の活性化』『A社長に経験をつませる』に点が入り、6点。
「経営ビジョン達成のための経営資源や機会」では、『老舗ブランド』に3点のみです。
先日アップした再現答案ブログにも書きましたが、キーとなる『グループのシナジー』『インバウンド』はやはり必須だったようですね。
落ち着いて考えれば誰でも答えられる問題だったようです……
第1問設問2 再現答案
理由は、①従業員の雇用責任を果たすという前経営者意向を汲み円滑に買収を進める為、②造り酒屋のノウハウを承継し支援を得る為、③人材資源を承継し競争力を維持する為、④従来からの取引先の信用を得る為。
第1問設問2 ふぞろい流採点 18点/20点
ふぞろい流では、「理由」「効果」といった切り分けでした。
「理由」では、『ノウハウを承継』『造り酒屋』『信用を得る』などに得点が入り、9点。
「効果」では、『円滑に買収』『雇用責任』『取引先』などに得点が入り、9点となりました。
前回のブログでも述べましたが、大手予備校の模範解答では「買収後の統合段階(PMI)」の段階に絞った答案ばかりでしたが、ふぞろいの分析によれば「買収時」の視点にも多くの得点が入ったということですね。
個人的には、この設問に関して大手予備校の模範解答に納得がいっていませんでしたので、とてもスッキリしています。
第2問 再現答案
手順は、①ベテラン女性事務社員から複雑な事務作業や取引先との商売等の業務内容を引継ぎ、②文書化により暗黙知の形式知化を図り、③業務要件を整理しシステム化、④システムは試用し不具合点を改善、というもの。
第2問 ふぞろい流採点 13点/20点
ふぞろい流では、システム化の「対象」「手順」「導入後」といった切り分けで採点基準を設けています。
「対象」は、『ベテラン女性事務社員から複雑な事務作業や取引先との商売等の業務内容』に得点が入り、9点。
「手順」は、『形式知化』に4点。
「導入後」は、得点にならず0点となりました。
再現答案ブログでの振り返りの通り、『DB化』はキーワードでしたね!
(再現答案ブログの振り返りの視点は的を射ていた! と自画自賛させてください!笑)
第3問 再現答案
必要な能力は、①取引先の新規開拓力、②顧客接点を生かしニーズを汲むコミュニケーション能力、③杜氏、蔵人と連携しニーズに合う商品の開発力、④提案力であり、愛顧向上を図り、固定客化につなげる。
第3問 ふぞろい流採点 15点/20点
ふぞろい流では、「ニーズの把握」「コミュニケーション力」「営業力・提案力」といった切り分けで採点基準を設けています。
「ニーズの把握」では、『ニーズ』に得点が入り、4点。
「コミュニケーション力」では、『コミュニケーション能力』『杜氏、蔵人』『商品の提案力』に7点。
「営業力・提案力」では、『提案力』に4点となりました。
第4問 再現答案
留意点は、①異なる事業がある中、公平な基準設定で納得感を持たせる事、②部分的な成果主義導入でモラール向上を図る事、③部門連係を評価し組織活性化を図る事、④多様性に配慮した制度設計で人材定着を図る事。
第4問 ふぞろい流採点 20点/20点
ふぞろい流では、「人事制度」「狙い」といった切り分けで採点基準を設けています。
「人事制度」では、『成果主義導入』『公平な基準』『多様性に配慮』に12点。
「狙い」では、『モラール向上』『組織活性化』に8点、となりました。
ふぞろい流採点の感想
得点開示請求では、65点とギリギリ合格ながらも、キーワード主義のふぞろいでは、75点の高得点でした。
キーワードはある程度しっかり拾えているものの、我ながら日本語の文章が読みにくいところが多々あり、そのあたりでの減点もあったということでしょうか……
再現答案と詳しい分析はこちらをご覧ください↓
事例Ⅱ得点開示77点 → ふぞろい流69点
第1問 再現答案
S:強みは、社長が意欲的で、無農薬・高品質のハーブの効率的な栽培方法を確立したこと。
W:弱みは、ハーブが軽くかさばり島外への輸送コストが高いこと、島とハーブの低い知名度。
O:機会は、安眠効果のあるハーブが注目を集め、複数メーカーからの引き合いが来ていること。
T:脅威は、取引依存にあるZ社より数年以内の取引中止宣告を受けたこと、島の活力低下。
第1問 ふぞろい流採点 13点/20点
S:『栽培方法』『無農薬』『高品質』『効率的』で4点。
W:『低い知名度』で2点。
O:『安眠効果のあるハーブ』『引き合い』で3点。
T:『取引中止宣告』『島の活力低下』で4点。
ふぞろいの分析によれば、私が重視していた日本語で主語を書く(強みは~、など)といった点はポイントではなかったようですね。
第2問 再現答案
B社は、従来の顧客層と異なるヘルスケア全般に関心のある層をターゲットとし、一社依存を避ける為、複数社と契約をする。また、全国知名度を高め自社ブランド化を図るべく、自社名等を全面的にアピールする。
第2問 ふぞろい流採点 14点/30点
ふぞろい流では、「取引先構成と方向性」や”だなどこ”の観点で採点基準が設けられています。
『従来の顧客層と異なる』『一社依存を避ける』『複数社』で14点となりました。
今、解答を読み直しても、具体性のない日本語や論点を外した後半の解答など冷や汗が出るような解答ですね……
時間がなくてももう少しまともな(冷静な)解答がしたかった
第3問設問1 再現答案
ヘルスケア製品と異なるハーブティという新製品を20~50代大都市圏女性という新市場へ投入する多角化が功奏。
第3問設問1 ふぞろい流採点 10点/10点
『ハーブティ』『新製品』『20~50代大都市圏女性』『新市場』『多角化』で、10点となりました。
(”功奏”と日本語ミスはあるものの、)丁寧な解答がうまくいきました。
第3問設問2 再現答案
B社は、①問い合わせフォームを設置し、クレームや改善要望を商品改良へ反映する、②BBSの設置やSNSでおススメの飲み方等のシェアを促進する、ことで顧客の関与を促進し、口コミの誘発で顧客層の拡大を図る。
第3問設問2 ふぞろい流採点 15点/20点
ふぞろい流では、「施策」「効果」「ツール」の切り分けで採点基準を設けています。
「施策」では、『クレームや改善要望』『おススメの飲み方等のシェア』で7点。
「効果」では、『商品改良』『関与促進』で5点。
「ツール」では、『掲示板』『SNS』で3点、となりました。
ここもキーワードは拾えているものの、①と②のそれぞれが「何を企図し、どのような施策なのか」が日本語的にわかりにくく、もう少しよい解答ができればよかったです。
第4問 再現答案
施策は、①島の高齢者と連携しハーブの伝統的な料理を学ぶ料理教室を開催し島の伝統を訴求、②ハーブ畑での農業体験で美しい光景を訴求、することで島の魅力を訴え、島の活性化を図る。
第4問 ふぞろい流採点 17点/20点
ふぞろい流では、「プログラムの内容」「資源の活用」「効果」の切り分けで採点基準を設けています。
「プログラムの内容」では、『料理教室』『農業体験』で8点。
「資源の活用」では、『高齢者と連携』『美しい光景』で5点。
「効果」では、『島の活性化』で4点、となりました。
ふぞろい流採点の感想
得点開示請求では77点でしたが、ふぞろい流では69点でした。
おそらく第1問のSWOTは実際にはふぞろい流よりも範囲が広く、私の解答でも得点がもう少し入ったのではないか、と推察します。
再現答案と詳しい分析はこちらをご覧ください↓
事例Ⅲ得点開示56点 → ふぞろい流63点
第1問 再現答案
(a)強みは、溶接・研磨技術が高い事、設計技術者を確保し設計・製作・据付の一貫対応力。
(b)弱みは、納期遅延が多く、付加価値の高いモニュメント製品の受注に応じきれていない事。
第1問 ふぞろい流採点 16点/20点
(a)「溶接・研磨技術」「設計・制作・据付」「一貫対応力」で10点。
(b)「納期遅延」で6点。
第2問設問1 再現答案
(a)①顧客とのやり取りに時間を要し、製作期間が確保できない点、②工数見積り精度が低く、受注内容次第で製作期間がオーバーする点。
(b)対応策は、①工数見積りの標準化で精度向上を図る事、②過去の設計情報をノウハウとして蓄積し、設計時間の短縮を図る事。
第2問 ふぞろい流採点 9点/20点
(a)ふぞろい流では、「制作前プロセス」「営業部門の負荷」に切り分け、採点基準を設けています。
「制作前プロセス」では、『顧客とのやり取りに時間を要し』『製作期間を確保できない点』で5点でした。
(b)『設計時間の短縮』で4点でした。
第2問設問2 再現答案
(a)①チーム間に技術差があり高度技術を要す加工を任せられないチームがある事、②加工物の移動が多く、不稼働時間が多い事。
(b)対応策は、①熟練工によるOJT指導、社内コンテストやマニュアル化による技能向上、②SLP・5Sによる作業スペースの確保。
第2問設問2 ふぞろい流採点 16点/20点
(a)ふぞろい流では、「生産計画」「不稼働」に切り分け、採点基準を設けています。
「生産計画」では、『チーム間に技術差』で5点。
「不稼働」では、『加工物の移動が多く』『不稼働時間が多い』で3点、でした。
(b)「生産計画」に関する対応策では、『OJT』『マニュアル』で5点。
「不稼働」に関する対応策では、『SLP』『5S』で3点、でした。
第3問 再現答案
C社はIT活用により、①過去の設計情報を蓄積し、設計時間の短縮、②生産計画と余力情報の見える化で、納期見積りの精度向上、③製造-営業間の情報共有をサポートし製作担当の打合せ時間を短縮し非稼働を削減、④CAD/CAM化の促進、で納期遅延を削減。
第3問 ふぞろい流採点 16点/20点
「IT活用施策」「効果」に切り分け採点基準を設けています。
「IT活用施策」では、『製造ー営業間の情報共有』『生産計画と余力情報の見える化』『CAD/CAM化』で、13点。
「効果」では、『時間の短縮』『非稼働を削減』で3点、でした。
自身の振り返りでは、IT施策それぞれをもう少し具体的に書いた方がよいのではないかと思っていましたが、ふぞろいの分析ではそこまでの具体性は求められていない、との結果でした。
『3DCAD』もそれ自体でそこまで大きなポイントとはなっていないようですね。
事例Ⅲを外した要因はこのあたりだと思っていたので意外でした。
第4問 再現答案
C社は、受注量変動に対し他事業とのリスク分散を図りつつ、製作図の理解力、高い加工技術を備えたモニュメント製品向けのチーム編成を行い、専門化による技能向上を図り、都市型建築の増加による製作依頼の増という機会を生かし、高付加価値化を図る。
第4問 ふぞろい流採点 6点/20点
「充実・拡大の施策」「効果」に切り分け、採点基準を設けています。
「充実・拡大の施策」では、『技能向上』で2点。
「効果」では、『高付加価値化』で4点、でした。
ふぞろい流採点の感想
事例Ⅲは、56点と今回唯一の不合格科目でした。
再現答案作成までは、「あまりよい出来ではないが、どこで『不合格』になってしまったのだろう?」とあまり納得がいっていませんでした。
ふぞろいによれば、第4問を完全に設問要求から外れた解答をしてしまっていたことがわかります。
いわゆる題意を外した設問があった、ということで不合格だったのですね。
数多くの答案を分析したふぞろいだからこその分析、非常に有用ですね!
再現答案と詳しい分析はこちらをご覧ください↓
事例Ⅳ得点開示87点 → ふぞろい流90点
最後に事例Ⅳです。
計算問題は割愛し、経営分析・記述問題のみ再現答案付きで採点します。
第1問設問1 再現答案
①棚卸資産回転率、3.91、回
②ー1:自己資本比率、15.82、%
②ー2:売上高経常利益率、1.65、%
第1問設問1 ふぞろい流採点 10点/12点
ふぞろいによれば、②ー1は、自己資本比率ではなく、負債比率のほうが適切だそうですね。
大手予備校の模範解答では、優れている点に収益性を上げているものもありましたが、ふぞろいでは効率性だそうです。(私もふぞろいと同意見)
第1問設問2 再現答案
商権限定で販売用不動産が少なく効率性が高いが、丁寧な顧客対応の費用負担が重く借入依存のため、収益性・安全性が低い。
第1問設問2 ふぞろい流採点 13点/13点
「経営成績の特徴」では、『効率性が高い』『収益性・安全性が低い』で3点。
「理由」では、『販売用不動産が少ない』『丁寧な顧客対応』『費用負担が重く』『借入依存』で10点。
第2問設問1 15点/15点 ※詳細割愛
第2問設問2 6点/6点 ※詳細割愛
… 233人中正解者は18人だそうです。ちょっとうれしい……
第2問設問3 9点/9点 ※詳細割愛
第3問設問1 再現答案
E社純資産額150百万円と買収額50百万円の差100百万円を負ののれんとして計上。
第3問設問1 ふぞろい流採点 8点/8点
『E社純資産額150百万円と買収額50百万円』『100百万円』『負ののれん』で、8点でした。
負ののれんは、特別利益として処理される、といった点まで書ければなおよしでしたね。(字数厳しい!)
第3問設問2 再現答案
被買収企業は赤字であり、買収にかかる費用を借入れで賄うため、収益性・効率性・安全性ともに低下し、買収のリスクは高い。
第3問設問2 ふぞろい流採点 10点/12点
「収益性」「安全性」の観点と「リスクに対する施策の助言」が採点基準となっています。
「収益性」では、『赤字』で5点。
「安全性」では、『借入れで賄う』で5点。
「施策の助言」は解答できず、0点でした。
診断士として解答するといった視点が完全に不足していたのが敗因ですね。「買収のリスクが高いですよー」といって助言を何もしなければ、「で、何?」となってしまいます。
分析に応じた助言も含めて解答するべきでした。
第4問設問1 12点/12点 ※詳細割愛
第4問設問2 2点/5点 ※詳細割愛
第4問設問3 再現答案
(a)金利が未考慮で判断を誤る可能性がある事。
(b)経常利益ベースでROIを評価する。
第4問設問3 ふぞろい流採点 5点/8点
(a)『金利が未考慮』で3点。
(b)『経常利益ベース』で2点、でした。
(事例Ⅰ~Ⅳ共通)ふぞろい流採点の感想
4科目合計得点を比較すると、得点開示285点に対し、ふぞろい流採点では、297点でした。
私が、ふぞろいで2次試験の勉強をしてきたせいか、自分の答案の特徴として「キーワード主義」であること、が挙げられます。
得点をキーワードに対して与えるふぞろい流の採点で得点が高くなったのは、そのせいかもしれませんね。
ふぞメンの方と話をすると、あくまで集まった解答の中からでしか分析できないのが、ふぞろいの弱みだそうです。AIのフレーム問題のようなものですね。
参考書別の強み・弱みを理解しつつ、受験勉強に活用していただければ幸いです。
参考ですが、私は「ふぞろい」と「全知識」、事例Ⅳのみ「30日完成で補強」(どれも同友館から出版)、この3つの参考書で2次試験を乗り切りました。時間に余裕があるならば、もう少し視野を広げてみてもよかったかもしれませんね。(時間のない方は一点突破にかけましょう!)
受験生向け相談会もやっています↓こちらもご参照ください。
コメント