中小企業診断士】令和2年度二次試験再現答案_事例Ⅳ

中小企業診断士

中小企業診断士の三田元気です。

今日は令和2年度二次試験の事例Ⅳの再現答案です。

本日で令和2年度二次試験の再現答案も最後になります。

正答が発表されない中小企業診断士二次試験においても、事例Ⅳだけは答えのばらつきが少ないので比較的悩まずに済むのではないかと思います。

少しでも皆様の「気づき」になればと思い、本番にどのような心境だったのか、や思考のプロセスなども併せて記載するようにしましたのでご参考ください。

◆試験問題はこちらからダウンロードできます↓

(注意)以下問題文は簡略表記しています。全文表記は上記からダウンロードしてください。

(設問 1 ) 同業他社と比較した場合の D 社の財務指標のうち、①優れているものを 1 つ、②劣っているものを 2 つ解答せよ。(設問 2 )D 社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴 を 60 字以内で述べよ。

再現答案

(設問1)

①棚卸資産回転率、3.91、回

②ー1:自己資本比率、15.82、%

②ー2:売上高経常利益率、1.65、%

(設問2)

商権限定で販売用不動産が少なく効率性が高いが、丁寧な顧客対応の費用負担が重く借入依存のため、収益性・安全性が低い。

注意した点

  1. 収益性、効率性、安全性の視点から多面的に答えること。
  2. 与件文から読み取れるD社の状況を表した経営指標を選ぶこと。
  3. 費用負担が重いことと借り入れ依存であることがD社の劣っている部分だと感じたため、経営指標は収益性の低さを示す「売上高経常利益率」と安全性の低さを示す「自己資本比率」を選定した。
  4. 他社に比べて売上高が1.3倍にも関わらず、販売用不動産が同じ程度なため効率性は高いと評価した。

振り返り

  • 効率性は「出店計画のない土地を駐車場として賃貸している」との文言があり、効率性は悪いということもできる。その場合には、「有形固定資産回転率」を劣っている指標と置き、高い売上高総利益率を取って、収益性を優れている指標と置く。
  • 大手予備校の模範解答も割れているため、与件文に沿っていればどれを選ぶかで死活問題にはならないと思う。

第 2 問(配点 30 点)(設問 1 )ステーキ店の当期の売上高は 60 百万円、変動費は 39 百万円、固定費は 28 百万 円であった。変動費率は、売上高 70 百万円までは当期の水準と変わらず、70 百万 円を超えた分については 60 %になる。また、固定費は売上高にかかわらず一定とする。その場合の損益分岐点売上高を求めよ。

再現答案

売上高70百万円の時の限界利益総額は、
70×(1-0.65)=24.5  であり、70百万円以上で回収すべき固定費は、
28-24.5 =3.5     である。この時の損益分岐点売上高は、
70+3.5÷(1-0.6)=78.75(百万円)

注意した点

  1. 売上高70百万円を境に変動比率が変化するので、起点を売上高70百万円に修正して計算することを心掛けた。
  2. 具体的には、まず70百万円までで回収できている固定費を算出し、70百万円以上で回収すべき固定費から損益分岐点を算出した。

振り返り

  • 変化球ではあったが、落ち着ていれば取れる問題だと信じとにかく計算をミスしないように心がけた。
  • 簡単な問題なので時間をかけすぎなかったのは、よかった。

(設問 2 ) このステーキ店(同店に関連して所有する資産の帳簿価額は 35 百万円である)への対応を検討することとした。(a)①の場合の正味現在価値、(b)②の場合の正味現在価値、(c)3つの選択肢のうち最適な意思決定の番号を答えよ。

再現答案

(a)(ⅰ)広告料のNPV=-5+(-5)×0.926+(-5)×0.857+0.7×(-5)×0.794+0.7×(-5)×0.735 = -19.2665  

  (ⅱ)営業CF = 0.7×35×(0.926+0.857+0.794+0.735+0.681)+0.3×(-5)×(0.926+0.857+0.894)=93.963  

  (ⅲ)資産処分によるCF = 0.3×28×0.794+0.7×24×0.681=18.1104  選択肢①の正味現在価値は、(ⅰ)+(ⅱ)+(ⅲ)より、92.81

(b)毎年の営業CFの期待値 = 0.4×25+0.6×15 = 19  

  改装工事のNPV = -投資額+営業CFの現在価値+資産処分によるCFの現在価値 = ―30+(19÷2×0.926+19×(0.857+0.794+0.753+0.681)+27×0.681 =55.46

(c)①

注意した点

  1. 非常にややこしい問題だと思い、一番最後に回した。いわゆる「捨て問」ととらえた。
  2. 一方で時間の限り最大限答え切ろうと努力した。
  3. (a)は、「広告料のNPV」「営業CF」「資産処分によるNPV」に切り分け計算をし、最後に合成した。それぞれ広告の効果がある場合とない場合で意思決定が異なるため、設問内の状況を数式が表現しているか何度も確かめながら答えを記載するように心がけた。数式さえ合っていれば、部分点はもらえると当初よりも部分点狙い
  4. (b)も、「営業CF」「資産処分によるCF」に切り分けて計算し、合成した。こちらも、部分点狙いでなるべく丁寧に計算過程を記載するよう心掛けた。

振り返り

  • 計算式が複雑で試験中は焦ったが、「捨て問」だと心を切り替えて最後に回したことで試験時間ギリギリまでシャーペンを動かすことができた。
  • 多くの人が完答できていないと聞くので、第2問はどれだけ部分点が取れたかがポイントなんだと思う。

第 3 問(配点 20 点)(設問 1)買収が成立した場合、E 社の純資産額と買収価格の差異に関して D 社 が行うべき会計処理を 40 字以内で説明せよ。(設問 2 )この買収のリスクについて、買収前に中小企業診断士として相談を受けた場合、 どのような助言をするか、60 字以内で述べよ。

再現答案

(設問1)E社純資産額150百万円と買収額50百万円の差100百万円を負ののれんとして計上。

(設問2)被買収企業は赤字であり、買収にかかる費用を借入れで賄うため、収益性・効率性・安全性ともに低下し、買収のリスクは高い。

注意した点

  1. 字数制限が厳しい中で、できる限り丁寧な解答を心がけた。「のれん」の逆の現象が起こっているので、「負ののれん」しかないと思っていたが、試験中は自信なし。
  2. 正答できているかどうかはさておき、解答にはあまり時間がかからない問題だと判断し、早めに短時間で解くことを意識した。

振り返り

  • 1を心掛けるあまり、前提情報なども詳しく書きすぎた結果、設問2は何も助言できていない。
  • 字数制限からどこまで前提(=当たり前のこと)を書くかはバランスが大切。
  • 設問2は財務デューデリジェンスの実施や収益の改善、借入金の返済など具体的な提案をすべきだった。

第 4 問(配点 25 点)(設問 1 )(a)戸建住宅事業および(b) D 社全体について、当期の ROI をそれぞれ計算せよ。(設問 2 )フトウェアを導入した場合の次期における戸建住宅事業の ROI を計算せよ。(設問 3 ) 取締役に対する業績評価の方法について、中小企業診断士として助言を求められた。現在の業績評価の方法における問題点を(a)欄に、その改善案を(b)欄に、それぞ れ 20 字以内で述べよ。

再現答案

(設問1)(a)4.31、(b)2.55

(設問2)4.17

(設問3)(a)金利が未考慮で判断を誤る可能性がある事。

     (b)経常利益ベースでROIを評価する。

注意した点

与件文の記載をもとにROIの分子分母を誤らないようにした。

設問3(a)は問題の理由と結果を因果で書くように心かけた。

振り返り

設問2は、小数点以下をミスしてしまった。正答は、4.18%。

設問3(a)は大手予備校の模範解答では、「単年度で短期評価」「利益額の増大インセンティブがない」「資本コストが未考慮」となっており、模範解答と比べると自分の解答は一面的であった。ROIが比率であることに着目すれば、絶対値の増大インセンティブがないことには自身の知識レベルでも触れることはできたはず。

(b)は(a)に対応するものになっているものの、(a)の考察が一面的であるため(b)の解答も一面的にならざるを得なかった。

終わりに

令和2年度試験合格者による再現答案と回答の注意点、振り返りを行ってまいりました。

事例Ⅳは結果として87点という高得点でした。

自身の実力は実際はここまで高くないと思いますが、時間配分をうまくできたこと(第1問→第3問→第4問→第2問の順で第2問をじっくり取り組めた)やたまたま計算問題が正答できたことが高得点の要因だと思います。

後日、やっていた事例Ⅳ向けの勉強法も公開しますね。

受験生向け相談会もやっています↓こちらもご参照ください。

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